第51回国会参議院法務委員会第31号
○
新谷政府委
員
土地建物に
関
し
ます
るわが国の特殊事情
と
申
し
ま
すか
、
特に戦後非常にこの利用が窮屈になってくるということ
か
ら
、
いろいろ社会的な問題にもなっております
し
、
何と
か
国民生活をより一そう安定
したものにするためには
、
土地なり
建物
、
さらに借地なり借家の関係に
つきましてよりよい制度に
持っていっ
て
、
紛争をなくするということが
必要であろうと思
う
わけでありま
す
。
先ほど大竹委員のお話のよう
に
、
わが国の狭
い
国土の中でこの土地を最高度に利用しなければならない
と
いうこと
も
、
これは当然のことでございま
す
。
そうか
と
いっ
て
、
所有権は
所有権
と
し
て私権でございますの
で
、
これを尊
重
し
な
け
れば
な
り
ませ
ん
。
また一方におきまし
て
、
現在のわが国の特殊
な
社会情勢から考えます
と
、
私
権である所有
権
、
その他の物権
と
いえど
も
、
やはり公共の福祉と申し
ます
か
、
そういった観
点
からの調整を受けること
も
、
これはまたある
程度やむを得な
い
問題であろうと存ずるわけでありま
す
。
そうあって
こそ初め
て
こういった深刻な借
地
、
借家の関係の問題も解決されるの
で
あろうと思うわけでございま
す
。
ただ現在の法制下にお
き
まして
は
、
紛争
が起
きま
し
て
、
当事者間の法律関係の存否
に
ついての争いまで
行
っ
て
し
ま
い
ま
し
て
初めて訴訟になるわけ
で
ありま
す
。
裁判所のいろいろの
判決例を資料で差し上げ
て
ございますが
、
借地条件の変更を無断でやった場合
、
あるいは
借地上の建物を無断で第三者に譲渡したため
に
、
賃借権の
譲
渡
全体が無断で行なわれ
る
、
こういった問題が起き
ま
し
た
後
に
その法律関係がどうなる
か
、
貸し主の側からいたしますれ
ば
、
これを
解除して戻せという要求になってまいるわけでありま
す
。
し
か
しな
が
ら
、
一方では土地の最高度の利用ということも必要
で
ございますの
で
、
その辺に何らかの調整を加えることを考え
る
必要があるのではあるまい
か
、
かように考えられるわけであ
り
ま
す
。
これを従前のような訴訟の形にいたします
と
、
法律関係
が
すでにあるかないかというところに争点が
集中いたしまし
て
、
そこまでまいりますと
、
これはまさに法律上の紛争で
ございます
の
で
、
一般の訴訟によって解決するほかはないわけであり
ま
す
けれど
も
、
こういった事件
が
、
現在の訴訟事件の中でも占め
る
割合が
非常に多いわけでございま
す
。
何とか
こ
う
いっ
た紛
争
を
な
く
し
て
、
紛争をあらかじめ予防できるものなら予防
し
、
し
か
も
借り主と貸
し
主
と
の間の利害の調整も十分には
か
っ
ていく方法
が
とれますならば
、
土地の利用も
一期待できるのではあるまいか
、
こういう観点に立ちまして
、
今回の
借地法等の一部を改正する
法律案を提案いたすに至ったわけでございま
す
。
お説のとお
り
私権ではありますけれど
も
、
やはりそのときどきの
社会情勢
に
これがマッチするものでなければなりませんの
で
、
そういう意
味
で
土地を合理的に利用するという目的のため
に
、
いろいろ
の
措置を
講じた次第でございます
。
<前半省略>
<以降省略>
第
5
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回国会参議院法務委員会第31号 昭和41年4月26日
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