法・行政・立法のブレーキレスの集大成
借地借家法[平成3年10月4日]、法律第90号
平成3年では、昭和41年の一部改正の流れを汲んで、「半永久的に土地は返ってこない」状況を受け定期借地権制度を骨子とする借地借家法が制定された。しかし、新法制定が必要となる要因を作り出したのは他ならぬ最高裁である。即ち、これまでの検証でみてきたように、「昭和23年(オ)第162号」をはじめ前例を検証せずに、そもそも必要のない救済の概念を借地にまで適用した「昭和34年(オ)第502号」がそれである。右大法廷判決を疑わない最高裁、法務省とその官僚が作成した答弁書を鵜呑みにした立法ありきの形式的な審議の末、憲法違反の新法が制定された。これは、三権による自作自演の迷走劇であり三権それぞれが前例を検証することを怠った不作為の結果でもある。
そもそも「半永久的に土地が返ってこない」こと自体が憲法違反であるが、政府委員、国会議員その他法律の専門家も誰も指摘をしなかった。司法と行政の誤りに気づくには仮説の科学的な検証が必要であり、権力の監視こそが立法府の責務であるが、この新法制定はその責務を果たしていない証拠である。
以下では、第121回国会における政府委員の発言①~⑥を中心に仮説の検証を加え、新法が憲法違反であることを立証する。