第120回国会衆議院法務委員会第11号/第121回国会衆議院法務委員会第3号
< 検証のまえに >
誤りに気づくシステムの欠如が招いた違憲立法
借地借家法[平成3年10月4日]、法律第90号
平成3年では、「半永久的に土地は返ってこない」状況を受け定期借地権制度を骨子とする借地借家法が制定された。
この新法制定は、先に検証した「昭和34年(オ)第502号」が定立した裁判規範が「半永久的に土地は返ってこない」状況を生み出したという点で、司法がまいた火種が原因の違憲立法である。
さらに問題なのは、この「半永久的に土地は返ってこない」こと自体が憲法違反であることに第121回国会に参加した政府委員、国会議員その他法律の専門家も誰も気づかなかったことである。これは、司法の判断を立法府と行政府が検証し修正する機能が欠如していることの現れでもある。
以下では、第121回国会における国務大臣の立法趣旨説明と政府委員の発言
❶
~
❻
を中心に仮説の検証を加え、新法が憲法違反であることを立証する。
「半永久的に返ってこない」状況を作り出した最高裁判例を検証・修正することなく社会的正義に反する法律を制定した
借地借家法[平成3年10月4日]、法律第90号 は、
憲法違反である!
以下では、この憲法違反の借地借家法の制定に関する大臣の立法趣旨説明(
第120回国会 衆議院法務委員会第11号(15)
)及び政府委員による立法に至るまでの背景説明(
第121回国会 衆議院法務委員会第3号(16)
)から検証する。
○
左藤国務大
臣
借地借家法案につきまし
て
、
その趣旨
を
御説明いたします
。
現行の借地法におきまして
は
、
借地権の存続期
間
、
契約
の
更新等につい
て
、
借家法におきましては建物の賃貸借契約
の
更新等につい
て
、
それぞれ強行規定を中心とした民法の特
別
規定が置かれているところであります
が
、
いずれも大正十年
に
制定された法律であっ
て
、
昭和十六年に改正された後
は
、
今
日
まで基本的な枠組みは変わっておら
ず
、
この間の社会
経
済
情勢の大きな変化
、
特に土
地
・
建物の利用に対する需要の
多様化
に対応し切れていない状況になってお
り
、
これに対応するた
め
に
は
、
借地借家法制のあり方について再検討を
し
、
現行法
に
見られる画一的な規律を改めて
、
より利用しやすい借
地・
借家
関係を実現するための手当てが必要であります
。
この法律案
は
、
このような見地に立っ
て
、
借地
法
、
借家
法
及び建物保護ニ関スル法律を統合した単行法を制定
し
、
現行
法
の基本的な枠組みである借地権の存続期間
、
借
地・
借家契約の
更新等の仕組みを見直してより公平なものとするほ
か
、
新し
い
類型の借
地・
借家関係を創設するなどの改善を図ろうとす
る
ものであります
。
<前半省略>
<以降省略>
①
②
②
’
③
第
1
2
0
回国会衆議院法務委員会
第
1
1
号 平
成
3
年
4
月
2
6
日
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○清水(湛)政府委員
そういうような実情を踏まえまして現実の実態を考えます
と
、
一定の限度の範囲内でそういうものを制度化してそうい
う
需要にこたえるということは借地
法、
借家法を所管してい
る
法務省としても当然考えなければならないこと
だ、
こうい
う
ことが今回の定期借地権制度の創設の背景にあるわけ
で
ございます
。
現行法の借地権についての規制が画一的であ
る、
これは何回
も
申し上げていることでございますけれど
も、
正当事由がない
と
契約の更新を拒絶することができないということ
で、
実質
的
にはほとんど半永久的に土地は返ってこな
い、
こういうよう
な
状況になっているのが実情でございま
す。
そこ
で、
土地
を
借りたい者の中に
は、
そんな
に。
長期でなくてもいいけれど
も
この期間だけは間違いなく借りた
い、
あるいはこの期間だ
け
貸してもらえばあとは間違いなく返すというような需要も実
は
あるわけでございます
。
<前半省略>
<中盤省略>
<以降省略>
第
12
1
回国会衆議院法務委員会
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号 平
成
3
年
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月
6
日
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